#019 チャレンジについて

by Motandhel

 最近僕とアズルは新しいことにチャレンジしている。それは難易度の高いダンジョンに二人で出かけることだ。そこまで危険ではない馴染みのあるダンジョンに二人で行き、最後に待ち構えるボスの近くに置いてある魔法の巻物を読み、少しだけ(あるいはとても)強くなったボスと戦うというチャレンジだ。

 通常4人で片づけることが普通とされるダンジョンの仕事だが、二人で挑戦するとまったく別の仕事になる。攻撃、回復、防御もすべて二人で賄わなければいけないとなると、お互いの戦い方や得意とするスキルを熟知していないと乗り越えるのが難しい。普段僕は攻撃重視型のタイプだが、アズルと二人の時は多少回復の魔法を使えるようにしておかなければいけない。僕は本当にこれが苦手で、敵を引きつけながら戦ってくれるアズルをこれまで何度も危ない目にあわせている。それどころか、敵の相手で忙しいはずのアズルの回復魔法に助けられる始末だ。彼は本当に感動するほどに器用で頼もしい存在だ。僕も大いに見習わなければいけない。

 すでにいくつかのダンジョンをこのチャレンジでクリアしている。フンガル峠やダークシェイド洞窟、ウェイレスト下水道といったおなじみの場所はもちろん、僕が好きなテンペスト島やヴォレンフェルにも二人で行った。僕が想像していたよりも二人での挑戦は困難なものではなく、そのほとんどは心地よい達成感を得られるレベルの難易度に感じられている。あまりダンジョンでの仕事をしない僕はモンスターマスクをほとんど持っていないので、毎回新しい装備を手に入れるチャンスがあるのも嬉しい。なによりアズルと二人であれこれ戦略を練りながら協力しあって戦うのがとても楽しく、今までのんびりとした時間を過ごすことが多かっただけに、二人の関係に新しい可能性を見出すことに喜びを覚えている。

 唯一これまで巻物を読んでクリアすることが出来なかったダンジョンがある。セレーンの巣だ。セレーンが召喚するクマの一撃があまりに強力で、また彼女を守ろうとする兵士たちの攻撃が非常に執拗なので、とても惜しいところまでたどり着けるのだが、あと一歩がどうしても届かず巻物を読むのを諦めた。二人でまた挑戦しようと約束した。きっと次はうまくいくだろうという気がする。彼と一緒にいると、どんなことでも挑戦してみたいと思えてくる。そしてなんでもうまくいくだろうという気がしてくる。とても不思議なことだ。

 それから些細なことだが、難しい仕事を終えてアンドーンテッドのキャンプに報告をしに行くのも気に入っている。鍵を2つもらって胸を撫でおろしながら眺めるデシャーンの水辺の風景はとても美しく、仕事をやり終えたという安堵を覚えさせられるのと同時に、一日の疲れが癒えていくような心地を覚える。まだまだアズルと二人で挑戦したいことがたくさんある。こんなにわくわくするのはクロックワーク・シティで十数年間実験を続けていた頃以来だろう。次はどこへ行くか、アズルと相談して決めなければいけない。色々なダンジョンの景色が思い浮かんでくる。きっとどこへ行くことになっても、僕は楽しみで待ち切れなくなってしまうだろう。